木材:サワラ(ヒノキ科 Chamaecyparis pisifera)
■ 分布
本州の北部から九州北部にわたって分布しています。中でも目立って多いのは木曽、飛騨などの中部山岳地帯です。造林されることもありますが多くはありません。一方、日常生活の中では、よく生垣用に植えられていて(ヒバと呼ぶことが多い。)、かなり普通に目にするものです。また、庭木としてもいろいろな品種があり、われわれの目を楽しませてくれます。サワラの木材は、現在では都会に住む人々には縁が遠くなりましたが、かつて、一般に用いられた家庭の風呂桶に多く使われ、手桶あるいは飯びつなどを含め、日常の生活に欠くことの出来ないものでした。最近になって、木製のものを見直される流れが出て来て、少しずつではありますが、サワラの製品もデパートなどで見受けられるようになりました。ときには製造の実演が見られることもあり、刃物で容易にきれいに割れるのが見られるでしょう。
■ 木材
心材はくすんだ黄褐色または紅色を帯びた黄褐色です。ヒノキと近縁ですが、その芳香はかなり違っています。年輪はややわかる程度で、肌目は精です。 気乾比重は0.28~0.34(平均値)~0.40 で軽軟な木材です。かつて風呂桶に使われましたが、どちらかといえば普及品でした。ヒノキの風呂桶は高級品で今でもいろいろな機会に話題にされますが、サワラの風呂桶はそうでもありません。保存性は中庸ですが、水湿によく耐え、加工もしやすいです。とくに割りやすいのが桶などによく使われた理由でしょう。
■ 用途
建築、器具、包装などがあります。この木材の特徴的な用途は何といっても桶、台所用品、浴室用品などでしょう。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター