木材:イスノキ(マンサク科 Distylium racemosum)
■ 分布
(C. cuspidata var. sieboldii) 両者の木材は同じようにシイノキとして扱われていることが多いでしょう。前者は本州(関東以西)、四国、九州、沖縄、台湾、中国中南部などに分布しており、照葉樹林の代表的な樹種とされています。後者は本州の福島県および新潟県以南、四国、九州、沖縄、済州島などに分布しています。
■木材
心材と辺材の境界はとくにはっきりしているとはいえません。心材は紅色を帯びた褐色、あるいは紫色を帯びた褐色で、辺材はやや紅色を帯びた淡黄褐色ですが、たまに濃色の縞が不規則に出てくることがあります。年輪はあまりはっきりしてはいません。肌目は精で、木目が乱れることがあります。気乾比重は0.75−0.90(平均値)−1.02で、非常に重硬で、イスノキは日本の木材の内で最も重いとされています。保存性の高い木材です。重硬なため、切削などの加工をするのはかなり難しいですが、よい仕上がり面が得られます。
■ 用途
重く、硬いので、加工をするためには工夫が必要ですが、製品はその特徴を生かしたものが大半で、家具、器具、楽器(三味線、琵琶の撥など)機械、旋作品などが挙げられます。フローリングもよく知られている用途です。イスノキでつくった木刀も売られていたりします。
■ その他
木材の利用法で変わった方法があります。それは風蝕材です。立ち木のまま枯らして、さらに長期間風雨に曝し、これを磨いて床回りに使います。京都では舎利と呼びます。日向ではイスノキの皮を剥いて風蝕材としたものを “スヌケ”と呼び、高価な床柱です。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター