木材:イチョウ(イチョウ科Ginkgo biloba)
■分布
イチョウという名前を聞くと、美しい並木道を思い浮べる人はいても、その木材を思い浮かべる人は少ないでしょう。わりと大きな木なので、そこから木材が採れても不思議ではありませんよね。しかし、スギやヒノキのように、材木屋でイチョウの木材が売られているのを見ることはありません。イチョウの葉は広葉樹のように広いですが、裸子植物で、その木材の組織は道管をもたず、その点では針葉樹に近いと言えます。中国原産で、日本では古くから、街路樹や庭園樹として植栽され、馴染み深い樹種の一つです。
■ 木材
心材と辺材の色の差はほぼ無く、やや黄色味を帯びた白色です。早材と晩材の差が明らかではないので、年輪はあまりはっきりとはしていません。よって、木材に個体差がほぼなく、均質です。肌目は精で、木目はまっすぐです。硬さは中庸で、気乾比重は0.55です。加工はしやすく、仕上がりのよい木材です。
■ 用途
人工造林をするようなことはないので、木材として大量に使われることはありませんが、古くから使われている分野もあります。盤や将棋盤用としてはカヤよりは、数段廉価ですが、カツラよりは高く評価されています。彫刻(木魚、印判)、漆器木地(越前、若狭、大内:板物)、まな板など、肌目が精で、加工しやすいというイチョウの長所を利用した用途が知られています。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター