木材:イヌエンジュ(マメ科 Maackia amurensis var.buergeri)
■分布
北海道、本州、四国に生育しますが、九州には少ないとされています。千島、朝鮮半島、台湾、中国などにも分布します。比較的よく見られる種ですが、樹高が12m、直径は30cmと、余り大きくならないので、蓄積は少なく、木材としてまとまった量が得られるのは、主に北海道です。
■ 木材
道管が環状に配列しているため、年輪がはっきり見えます。心材と辺材の色の違いははっきりとしています。心材は暗褐色ですが、色が均一でなく濃淡があり、特徴的な模様を形づくっています。辺材は黄白色で、基本的に幅が狭いです。肌目は粗です。木材はやや重硬で、気乾比重は0.59です。切削などの加工はやや難しいですが、表面の仕上がりはよく、磨くと光沢が出ます。心材は耐久性が高いです。
■ 用途
大きな材が得られることが少ないので、器具材、あるいは、床柱などの装飾的な建築内装材とされるのが普通です。材色や木理の美しさを利用して三味線の胴、月琴などの楽器を作るのにも使います。産地によっては、漆器の木地に使うところがあります。また、ろくろ細工や最近目立つようになってきたアートクラフト(動物の像、ブローチ、キーホルダー、その他)の材料にもなっています。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター