木材:ネズコ、クロベ、鼠子、黒檜(ヒノキ科 Thuja standisii)
■分布
本州の北部から中部、さらに中国、四国地方にも分布していますが、その分布の中心は本州中部の山岳地帯です。昔から木曾五木の一つとされてきているのも、木曾地方に多く分布していたからでしょう。しかし、東京のような大都市ではほとんど知られてはいないのではないでしょうか。ところが一方で、現在我々の周辺をみると、ベイスギ(T. plicata)という木材があります。これは実はアメリカ産のスギではなくて、このネズコの類です。したがって、我々は日本のネズコを使わないで、アメリカ産のネズコの類を使っていることになります。
■ 木材
心材と辺材の境界ははっきりしており、心材はくすんだ黄褐色と褐色などで、辺材は黄白色です。早材から晩材への移行はかなり急で、そのため年輪ははっきりと見えます。肌目は精です。気乾比重は0.30−0.36(平均値)−0.42で、軽軟な木材と言えます。切削などの加工は容易ですが、仕上がりは特に良いとは言えません。保存性は中庸で、上述したベイスギが保存性の高い木材であるのに比較して、劣っているといえます。
■ 用途
分布が限られていますので、国内で広く使われてはいません。天井板、障子などの建具材、和机、下駄、指物などに使われています。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター