木材:ハードメープル(カエデ科 Acer saccharum)
■分布
この樹種から採れる樹液を煮詰めて、メープルシュガーをつくることができます。ハードメープルは1種の樹種ではなく、上述の樹種(シュガーメープル)とブラックメープル(A.nigrum)の2種の総称です。
これらは、カナダの東部およびアメリカの中西部、北東部などを中心に分布していおり、日本ではサトウカエデと呼ばれています。カエデの類の紅葉は、日本では文字通り紅くなるものが多いのですが、アメリカやカナダのカエデはどちらかといえば黄色あるいは黄金色になり、日本のカエデとはまた違った美しさがあります。
■ 木材
心材は淡赤褐色ですが、たまに、傷のある部分には緑黒色の條があります。重硬で、気乾比重は0.70位です。強くて剛く、衝撃に対しても強いという特長があります。収縮率はどちらかというと高く、乾燥をするのはやや難しい方です。耐久性はあまり高くないでしょう。肌目は精で、木目はまっすぐなことが多いです。また、木によっては木目が不規則になっており、波状になったり、鳥の眼のような模様にしたりして、美しい“もく”を形づくることがあります。摩耗に対して強いという特長もあります。
■ 用途
製材品、単板など、さらに床板(米国では大変好まれる樹種です)、家具、箱、ボーリングのアレイ、器具柄などによく使われます。耐摩耗性が高いので、ダンスホールの床板用に適しています。木材を乾溜して種々の化学成分を利用する際に用いられる主要な樹種の一つです。旋作しやすいので、日本でも材質の似たイタヤカエデは、ろくろ細工をして“こけし”作りに使われています。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター