木材:ベイスギ、ウェスタンレッドシーダー、米杉(ヒノキ科 Thuja plicata)
■ 分布
北米大陸のアラスカ州の南東部からカリフォルニア州北西部およびロッキー山系に分布しています。ベイスギと呼ばれていますが、米国産のスギ類ではありません。日本のネズコあるいはクロベ(T.standishii)と同類で、日本名をつけるとすればアメリカネズコと呼ぶべきでしょう。また、スギの特有の香りはなく、別の香りがしますので、すぐに別物であることがわかります。この木材は耐久性が高いため、米国のある部族のインディアンの人々は、この木材を使ってトーテムポールを作っています。
■ 木材
心材の色は赤褐色で、このことから多分ベイスギの名が出たのでしょう。しかし、スギとは違って、色が不均一で汚れたような感じを与えます。このために、表面に出るような用途には使いにくいです。しかし最近では、木材の漂白および染色の技術が進歩して、美しい材面に加工することが可能です。木材の保存性は非常に高いです。気乾比重の平均値は0.38で、むしろ軽軟な木材です。加工がしやすい反面、強い木材ではありません。
■ 用途
集成材の板、建築、建具、クーリングタワーの板、屋根柾(シングルウッドという別名をもつ理由)など、どちらかといえば、耐久性が高いが強さをあまり必要としない用途に用いられます。その結果、天然スギの美しいスライスドベニヤのようなものが、ベイスギから作られるようになっています。製材の際に出来る鋸屑のせいで、作業をする人々がいわゆる“ベイスギぜんそく”にかかることが大きな話題となったことがありました。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター