木材:ベイツガ、ウェスタンヘムロック 米栂(マツ科 Tsuga heterophylla)
■ 分布
北米大陸のアラスカ州南部から米国の南西部までの太平洋岸地域に分布し、多いのはワシントン州とオレゴン州です。日本に米大陸から輸入される木材のうち、ベイツガに次いで量が多いのがベイマツです。価格が低いため、日本に輸入されてスギと競合することが多く、日本の林業に大きい影響をおよぼす樹種といえます。米国では、材質的に他の樹種に比較して劣るため、高く評価されることはないようです。日本への輸入量が多いのは、質よりも価格が安いという点が魅力的であるためでしょう。ちなみに日本に輸入する際、モミ類と合わせて、Hem―Fir(ヘム―ファー)と呼ばれています。こういう取扱いをするのも、木材個々の価値があまり評価されないからではないでしょうか。
■ 木材
日本産のツガと比較すると、ベイツガは年輪幅の広いものが多いので、違う種類のように感じられることが多いのです。ごく一般的にいうと、木材の性質は日本産のツガと似ているといえますが、心材と辺材の色の差は少なく、白色、黄白色、淡褐色の木材です。しかし、年輪の濃色部(晩材)は、桃色や紫色を帯びるので、木材はやや紫色を帯びます。入皮のような欠点が多く見られます。気乾比重の平均値は0.48です。とくに水分があるようなところでは腐りやすいという欠点があります。
■ 用途
建築(柱、鴨居、長押、保存処理をして土台)、箱、器具、パルプ材などに用いられます。特に建築材としては、スギが用いられるような用途にほとんど代替されています。東京などの都会で低価格で建てられている家は、全体的にベイツガを用いているケースが多いです。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター