木材:コクタン エボニー(カキ科 Diospyros discolor を含むDiospyros spp.)
■分布
果物のカキはよく知られていますが、コクタンと呼ばれている木材が、カキの仲間からの木材ということはあまり知られていないでしょう。実際、コクタンの取れる樹木を結実期に見ると、日本のカキとは見た目が大分違いますが、それでも大きくて立派な実をつけていることがあります。コクタンは、シタン、コクタン、タガヤサンで知られる唐木の代表的なものの一つです。今日では本コクタンと呼ばれる真っ黒な木材を見ることは非常に少なくなり、あるとすれば、小さな細工物になっているものが大部分でしょう。その真っ黒なものはD. ebenumのような樹種から採取されていますが、もうほとんど大木はなくなってしまっているでしょう。もっともエボニーというのは真っ黒なものが本来的なものでしたが入手しにくいことと、どちらかというと縞がある方が現在では好まれるので、かえってかつて低質のエボニーと考えられていた桃色の地に黒色の縞があるD.discolorのような木材の方が装飾的な用途に用いられているようです。エボニーはコクタンに対する英語と考えよいでしょう。この類の木材はアフリカ、熱帯アジア、ニューギニアなどに産します。
■ 木材
心材は樹種により桃色と黒色による縞状(D.discolor) 、真黒色(D.ebenum) などがあります。辺材はほとんどが灰白色です。一般に木材は重硬で、気乾比重は1.09(D.discolor) 、1.05(D.ebenum) です。木目はまっすぐですが、不規則なこともあります。肌目は精で、光沢があります。
■用途
唐木細工、彫刻、錠作、象嵌、絃楽器の部品、ピアノの鍵、ブラシの柄、スライドベニヤ、家具などに用いられます。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター