木材:ブラックウォルナット(クルミ科 Juglans nigra)
■分布
その昔、米国では“ウォルナットブーム”があり、家具、内装、キャビネット用に、大量に使われたことがありました。そのせいもあってか、米国では一時、ブラックウォルナットの丸太の輸出を禁止してしまいました。今では、その流行も去り、米国では昔ほど見ることがなくなりましたが、それでも、銘木としての地位は揺るがずにいるようです。ブラックウォルナットと材面が非常によく似た木材が同じ木属の中に2種あり(J.california カリフォルニアウォルナット、J.hindsii ヒンズウォルナット)、市場では「クラロウォルナット」と呼ばれています。これらは、ブラックウォルナットと材面がよく似ており、区別することはなかなか難しいでしょう。
ブラックウォルナットは、米国やカナダ東部に分布していますが、木材としての利用が多いことも手伝ってか、現在では、林地が農地に変わるなどの理由で、非常に少なくなってきています。また、クラロウォルナットは、西海岸のカリフォルニアにのみ分布しています。
■ 木材
心材はチョコレート色から紫赤色、紫黒色で、一般的には、色は一様でなく、縞状になっていて、美しい模様の材面がみられます。辺材は淡色で、それを有効に利用するため染色して使うことがあります。硬さは、重硬で気乾比重は0.62です。肌目は粗く、木目の美しさは木材ごとにかなり異なるため、その材面の美しさが価値を高めます。材質は粘り強く、加工はしやすいです。
■ 用途
家具、キャビネット、銃床(PEGで処理をして、寸度安定性を増加させることが多い)、楽器用材。スライスドベニヤとして使うことが多く、日本での利用のほとんどが、このような使い方です。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター