木材:サクラ類(ヤマザクラを含む)(バラ科Prunus jamasakuraを含むPrunus spp.)
■分布
サクラ類には、本州中部以北、北海道、南千島、サハリン、中国東北部、シベリアなどに分布するシウリザクラ:P.ssiori 北海道、本州、四国、九州に分布するウワミズザクラ:P.grayanaをはじめとして、多数の種類、品種があります。ヤマザクラは本州、四国、九州、朝鮮にも分布します。木材として利用される量は少なく、むしろ貴重な材料となります。ヤマザクラの樹皮の内側から「桜皮(オウヒ)」と呼ばれる生薬がとれるのですが、煎じて咳の薬としたり、エキスを鎮咳薬として使います。
■ 木材
サクラ類の木材は、ヤマザクラのそれとほぼ似ています。心材は褐色または赤褐色で、よく見ると、緑色の縞が不規則ながら必ずあることに気付きます。辺材は淡黄褐色または黄白色で、心材との差ははっきりしています。生育中の虫の害を受け易いためか、木材にはその傷あとが癒合した小さい斑点が見受けられます。気乾比重は0.48~0.62(平均値)~0.74で、木材はやや重硬といえます。年輪はややはっきりしており、肌目は精です。木材の保存性は高く、加工はしやすいです。
■ 用途
器具、家具(和風)、楽器、ひきもの、彫刻など。昔は塩田器具に用いられたこともあります。 マカンバあるいはミズメなどのカンバ類の木材のことをサクラあるいはカバザクラ、ミズメザクラと呼んで、あたかもサクラ類の木材であるようにして取扱っていますが、両者の色はやや似ていますが、材面がかなり異なります。カンバ類の材面は均一で変化がありませんが、サクラ類はわりと不均一な材面のため、装飾的な用途により適しているといえます。このような商習慣は明治時代の頃からあったようです。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター