木材:ミズナラ、楢(ブナ科 Quercus crispula)
■分布
北海道、本州、四国、九州、さらにサハリン、南千島、朝鮮などに分布していますが、日本での代表的な産地は北海道です。ミズナラは、日本のみでなく、欧米諸国においても代表的な広葉樹材の1つです。フランスのルーブル博物館の展示品の家具の中には、ヨーロッパ産の同類の木材が使われているものがあります。最近日本においてもミズナラ製の家具に対する需要が高まってきています。これは、おそらく住宅様式の欧風化と本物指向に伴って、ミズナラのもつ味わいが見直されるようになったからでしょう。歴史的にミズナラの類がヨーロッパでは高級棺用材として重宝され、北海道からそのための厚板として古くから輸出されています。木材の少ない日本から海外へ輸出されたものとして珍しい例です。
■ 木材
心材は褐色で、淡色の辺材とは差がはっきりしています。年輪の境に沿って大きな道管が環状に並んでいるため、年輪がくっきりとしています。
成長が良いと木材の比重が高くなり、硬くなります。逆に成長が悪いと、軽軟になります。放射組織が幅広く、高いので、とくに柾目面では、帯状の模様(とらふ)がはっきりと現れ、家具材に用いたときの大きな魅力となっています。気乾比重の値は6.45~0.68 (平均値)~0.90 で重硬です。心材の保存性は中庸で、加工は難しい方です。
■ 用途
洋風家具、器具、床板、運動具、洋酒樽、造船、木炭、合板、単板、車両などに使われます。ウイスキーの樽は、日本はもちろんイギリスやアメリカでもこの類の木材で作られており、日本酒とスギの関係のようにウイスキー作りには欠かかせないものです。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター