木材:アオダモ、コバノトネリコ(モクセイ科 Fraxinus lanuginosa )
■分布
伝統的なスポーツの場合、道具に木材を使うことが多いのですが、種目によっては、かなり厳密に特定の樹種を選択していることがあります。野球のバットは典型的な例の一つでしょう。野球のバットには、アメリカでは元々ホワイトアッシュを使っているのですが、日本産の樹種の中から選ぶとすると、このアオダモが、硬式用としては最も近い性質を持っているものの一つといえます。したがって、需要は非常に高いのですが、もともと大きくなる木が少ないことと、数自体が少ないことから、入手することが段々と難しくなってきています。北海道、本州、四国、九州などに分布しますが、最も多いのは、北海道です。
■木材
心材と辺材の色の差ははっきりしないことが多く、木材の色は淡黄白色で、心材がやや濃色な程度です。環孔材ですので、年輪ははっきりと認められます。木目はまっすぐで、肌目は粗です。加工性は普通で、保存性も普通です。木材はやや重硬で、気乾比重は0.62~0.71(平均値)~0.84です。弾力性があり、また、曲げ木にもなりやすいのが特徴です。
■用途
現在では蓄積が少なくなり、高値になったため、用途は野球のバットが中心になっているのではないでしょうか。その昔、テニスやバドミントンのラケット、スキーの板なども木材で作られたもののみでしたが、その時代には欠かせない樹種の一つでした。また、強靱性が必要な他の運動具にも使われました。器具、家具材も用途として知られています。ゲートボールのスティック、ゴルフのクラブヘッド等もあります。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター