木材:ブラックチェリー(バラ科 Prunus serotina)
■分布
サクラの種類は北米大陸に約30種あるといわれていますが、その中で、木材を生産できる大きさになるのは唯一このブラックチェリー位でしょう。ノヴァスコシアからミネソタ、南へはテキサス中部、さらに、東へフロリダにわたって分布しており、ニューメキシコ南部、アリゾナ西部にも天然分布があります。この種は、さらに南の方、グアテマラ、ベネズエラ、ボリヴィアにまで分布しています。
■木材
心材は赤褐色あるいは赤色で、辺材は淡桃色で、色の違いがはっきりしています。よく見ると、日本産のサクラ類のように、不規則ですが、やや緑色をおびた部分があることがわかります。また、日本産のサクラ類同様、ピスフレックスという傷の組織が点々と見られ、ときには、粘液状のものが溜まっている小さなポケットがみられることもあります。やや重硬で、気乾比重は0.56。木理は通直で、肌目は精です。切削などの加工が容易で、また、施削もしやすく、仕上がり面は優れています。耐久性は中庸です。
■用途
独特の美しさをもった材面なので、家具、キャビネット、楽器、高級建具、床板、銃床(ブラックウオルナットに次いで好まれています)、タバコのパイプなどによく使われます。ハムの燻製の材料として、このチェリー類の材がよいといわれることもあります。
参考(引用):一般財団法人 日本木材総合情報センター